The story of Naocastle ~Aリーグと骨折~ 第九章
People who have accomplished work worth while
have had a very high sense of the way to do things.
They have not been content with mediocrity.
They have not confined themselves to the beaten tracks;
they have never been satisfied to do things just as others so them,
but always a little better. They always pushed things that came to their hands a little higher up,
this little farther on, that counts in the quality of life's work.
It is constant effort to be first-class in everything one attempts that conquers the heights of excellence.
- Orison Swett Marden(1850-1924, American author, founder of Success Magazine
「価値あるものを成し遂げた者は、物事に対して求めるハードルが非常に高い
彼らは並の評価では決して納得がいかない
己の道を狭くして、負け道にしか辿り着かないようにならないよう
他の人間よりも常にもう少し頑張り、目の前にある物事を常にもう少し良くしようと踏ん張り、
こうして、常にもう少し上へと考えながら生きる
そこに人生の質というものが生まれる。
常に、何事に対してでも、一流になろうという者に最高の勲章は与えられる」
日本経由でシドニーに到着して、元監督に一本の電話を入れた。
「監督。今シドニーに戻ってきてるんですけど、練習参加って、できますか?」
この監督にはかなり昔からお世話になり、シーズン途中だったのにも関わらず契約をして1試合目からスタメンで使うと言ってくれた、この監督の下でプレーを再びする事になりました。
前章でも述べたとおり、この年からAリーグというオーストラリア初のプロリーグが始まると言う事もあり、
シドニーのリーグにはAリーグ関係者がよく試合に見に来ていたのもあったのでまずプレーする事が一番大事だと決断をしました。
この時、既にヨーロッパで起こった事に関して吹っ切れていた僕は、自分でも驚くほど調子がよく、
リーグ戦残り6試合で3得点5アシストをしてチームも4勝2分けで3位からいっきにリーグ優勝。
オーストラリアの球際の強さには昔はどちらかというと慣れで対応していたところがありますが、スイスに行ってから向こうの体幹トレーニングを真面目にやって、相当バランスが良くなり、1対1の場面で相手をほとんど潰していた僕に、監督も球際が恐ろしいほど強くなったなとビックリしていました。
僕も細身ですが日本人もヨーロッパの体幹トレーニングをきっちりやれば海外でも余裕で通用すると思います。
そしてシーズン中にAリーグの3チームから話があり、一番先に正式なオファーを出してくれた、ニュージーランドナイツと契約する事になりました。
この時リーグにはまだ8チームしかなく、しかもチームごとに20人しか契約ができないというルールがあり、どこかのチームと契約を交わす事が先決かなと思ったのと、ニュージーの監督が相当気に入ってくれた事もあり話はすぐに成立。
シーズン前のキャンプが始まる6月までは、今居るシドニーのチームで残って試合に出続けると言う事で話は決まっていたので残って試合に出るのですが…
試合中、
ボールが頭の上に…高くジャンプ!ヘディングで相手と競り合って…
あ、バランス崩れた…あ、やばい。左足のひざが伸びきった状態…
着地の時にもろに左足首に負担が掛かる…
パキッ!
この音は僕には聞こえなかったのですが、サイドラインにおろされてからもう一度立って試合に戻ろうとした僕にフィジオセラピーが言う。
「パキッって言ったのは聞こえたから、ナオキ辞めとけ。明日、医者に行こう。」
試合が終わり、体も冷えてきたころに痛さがひどくなってきました。
初めて(やばい…)と思いながら、松葉杖を借りて翌日お医者さんへ行くと…
7cmの骨折。見事に折れていたらしい…
「まじっすか??」それはないっしょ…
事実を、ニュージーの監督に報告しなければいけなく、重い気分だったのですが受話器を取って電話をすると…
「まあ、仕方ないやろう。出来るだけ早く治して、ニュージーに来た時に会おう。
こちらに早く来て、リハビリを始めてもいいよ。」とポジティブな返事を貰えたので、少し早くニュージーに行きリハビリを始めることになりました。
キャンプの時点でやっと歩けるようになった僕は開幕戦には無論間に合わず、5試合目になって、やっと試合に出れる状態に持っていき、骨折から5ヵ月後やっとピッチの上に戻れるようになります。
そもそも、怪我はどうして起こるのか?
これは僕の経験上オンリーの話になってしまうのですが、あくまで自分が甘い時に怪我は起こっています。
ちょっと調子に乗ってたり、油断をしている時、集中していない時、100%で練習、試合に取り組んでない時に怪我は来る。
準備が悪かった時もあるでしょう。ちゃんと、睡眠をとらなかったり、食生活があかんかったり。
怪我は仕様が無いもので、不運と言う人もいると思います。確かにスポーツには付き物なのかもしれません。
ただ、怪我をした時の事を振り返ってみて、よく考えてみればどこかで油断をしていた自分がいると思います。
怪我が治ってからは、1試合を除く12試合中11試合に出場して、21試合しかないシーズンなので、
残り5試合しか残ってなかったのですが、そこへまた大きな怪我が…
試合中、おそらくゴールになっていたところを、相手のシュートに対してダイブしながら足で阻止するのですが、至近距離での弾丸シュートが足のつま先に当たって、伸びきっていた膝は捻られて靭帯がぶっちりと切れ、全治3ヶ月…
一瞬マークが甘かった。マークが少し外されていて、間に合わずダイブまでして止めにいかなあかん羽目に。
シーズン残りの試合はもちろん出られず、監督に見放された事だろうと思ったところへ、怪我の翌日の練習場でアイシングをしていた僕に監督が寄ってきた。
「ナオキ。来シーズンはどうするんや?」
まだ決めてないですよと答えると。
「ここで、もう1シーズンやらないか?俺はお前の事を認めている。周りの選手からも気に入られてるし、何よりもこの数試合
いいプレーが続いていて、もっとお前のプレーを見たかった。怪我をしてしまって本当に残念だ。」
再契約はないと思っていたので、意外だったのですが、ここはとりあえずお礼を言って考えさせてくださいとだけ言っておきました。
なぜ、そんな素っ気のない返事をしたかというと僕にはまだ迷いがありました。
もう一度ヨーロッパでプレーをしたいという気持ちが強く、Aリーグにいてもその道はなかなか開かれないし、なによりも人として成長できるかどうかが一番のクエッションマークでした。
元ジュビロの藤田選手が、オランダから日本に帰ってきてJで再びプレーをしだしてしば
らくしてから言っていた言葉があります。
「言葉もなにもわからないところがいい。またそういう場所へ行ってプレーをしたい。」
僕もまた似たような気持ちだったし、そういうところでプレーをして更に人間として成長したい。
得るものは必ずあるはず。
そういうことで、ニュージーの監督にはそう伝え、Aリーグからは去る事にしてシドニーに戻ってリハビリを続けながら、またまた元監督のところでお世話になりながら、ヨーロッパへのコンタクトを取り続ける日々が続きました。
しかし、一向に来ないヨーロッパからの話…
お世話になっていたシドニーのチームのシーズンも終了間際…
と、そんなところへ一つのメールが届きました…
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"Aiming to be a world class player would be on anybody's mind who have tried to pursue a career in this beautiful game, but I think it is more important to aim to be a first class human being."
「このサッカーという素晴らしい競技の中、プロを目指す人間の頭の中に世界一流選手になろうという気持ちは必ずどこかにあるはずです。でも私は人間として一流を目指す事のほうが大切だと思います。」
今矢 直城
左足首は僕も一度骨折しました。バキッという音が聞こえました。その時は草サッカーチームで遊びのミニゲーム中でした。確かに気が抜けている時でしたね。
今矢さんの悪い時の原因は基本的に自分の中にあるという考えか方は素晴らしいですね。そういう高い意識があるから日々成長されているのだと思います。僕も見習います。
おひさしぶりです。
今矢さんをはじめて知ったのは、キャンベラ・コスモスの時
だったですかね。
NZナイツに入団したって聞いて、楽しみにしてました。
その時もいろいろあったのですね。
BGS GEEKさん
この間お会いして、僕自身も学ぶ事がたくさんでした。
ありがとうございます!
ぴっかぶーさん
おひさしぶりです。
そうですね、キャンベラ時代ですね。
最後の2章を頑張って仕上げます!!
オーストラリアに移ってからのお話も興味深いです。
詳しくは知らなかったけど、怪我をされたり、NZナイツに入った時のことを覚えています。
常に問題点を直視し前向きに捕らえようとするNaoさんはすごいと思います。
続き楽しみにしています。でも、あと2章だけですか?
sweetchiakiさん
ありがとうございます!!
そうですね、もうあと2章です。
きっちり終われるように頑張ります!!