第3話 (ヨーロッパでのエピソード)
この前友人にこの話をしたら結構受けてたので紹介します。
以前にブログで紹介したと思ってたんですけど、してなかったかも知れません。
ちょっと落ち込んだ時に読んでください。(あと長いので時間がある時に)
あの時はマジ笑われへんかったけど、マジ笑えます。
舞台はスイス。2004年の9月か10月ぐらい…
スイス1部ヌシャテルと3年契約を交わしていたのにも関わらず、僕を含めた外国人選手3人が首になり、僕自身はスイス2部のチームと6月から新シーズンに向けて練習を始めていました。
長い話を短くして、契約上、僕を首にする事は出来ないので弁護士を通して裁判に持っていく話を進めていました。
そんな事もあり、サッカー以外の事で結構ストレスが溜まっていた時でもあります。
新しいシーズンが始まった6月には、労働ビザが未だに下りないというハプニングがあり、毎日、練習に行きながらも、試合はスタンドから観戦という日々が続いた。
この日々は、マジ苦しかった。契約が目の前にあるのに、試合に出られない…
しかし自分の力じゃ何も出来ない。歯を食いしばりながら、スタンドで観戦をしていた時間はあまりにも寂しかった。
練習でも必死に頑張っていた自分に気をつかって声を掛けてくれる監督や選手がいる事が逆に苦しかった。
2004年から外国人枠が5人から3人に減り、去年までEU圏の選手は外国人選手扱いだったのが、それが無くなり、外務省の言い分ではフランス人とかイタリア人を外国人枠じゃなくて取れるのに、なぜ日本人を取るんだ?という事だった。
更に言えば、この2部のチームもヌシャテル州にあり、ヌシャテル関係者がスイス外務省と繋がりが強いので、阻止をしていたとも思われる。
ビザが下りなければ、国を出る事になり、さすがに裁判にはしないだろうという事も計算済みだったのかもしれない。
標高1000mの場所にあるこの2部のチームは、ヌシャテルの後、
冬休みが終わった1月からずっと半年間、ほとんど雪が降りっぱなしであった。
マイナス20度以下という気温が続き、練習も氷の上でするときがよくあって、メンタル的にもかなり参っていたのが事実。
しかし、そんな気温にもしばらく居ると結構慣れてくるもんで、長袖にジャンパーを羽織るぐらいだけで大丈夫になってくるんや、これがまた不思議な事に。
氷の上での練習が終わって、ふと髪を触ると髪の毛が凍っていた時はさすがにびっくりしましたがね。
サッカーの環境もヌシャテルとは無論かけ離れていて、ほとんどの選手はサッカー以外に本職を持っているので、いつも、アマチュアのように、夜からの練習…
街中を歩いていても、5分ぐらいで全てを回れる、“超”田舎町を歩いていて、一体俺はここで何をしてんねんやろう? と自分に問いかける毎日が続き、人生初めて、自殺する人や、薬に落ちていく人の気持ちが一瞬わかったといっても過言ではない。
ああ、こうやって、落ちていくんやなって…相当、メンタル的に参ってたから…あん時は。
住んだ方はわかると思いますが、欧州では、太陽がほとんど見えない、暗い日々が何ヶ月も続く時がありますが
季節も変わり、やっと太陽が見え出してきた、新しいシーズンの中、その日は訪れた。
この日本人選手は絶対に必要だと外務省にも手紙を送り、色んな政治力を持った人にも頼み続けていてくれた監督から、練習の前に部屋に呼ばれる。
内容はわかっていた。イエスかノーかの問題だけであった。
答えはノーだった…
労働ビザは下りなかった。残念だが、今シーズンは無理やと。
苦しかった毎日に、更にとどめを刺された感じやった。
この時の出来事で自分の人生に笑けるストーリーがまたまた生まれてしまう。
部屋の中ではしばらく沈黙の時間が続いたが、その後パスポートなど、色んな事を処理している間に時間は経ち、いつの間にか練習は終わっていた。そこで自分は何を思ったのか…自分はサッカー選手や。
腐っていても意味がねぇと思い、ボールが入ってるバッグを持ち上げながら、一人で練習場へと向かった。
まあ、ここで終わってれば、ちょっとかっこつけ過ぎやけど、まあ一応がんばって、えらいんちゃうか?ぐらいで済んだかも知れんけど、ここからがストーリーの始まりである。
散々走って、シュートを打ちまくった後、引き揚げて控え室へと戻ると…
ガーン…クラブの人もみんな帰っていて鍵がかかっとるやんけ!
マジ焦った。
家の鍵も財布も携帯ももちろん全部、控え室の中。
そん時、一緒に住んでいたチームメートの家が、グラウンドから走って10分ぐらいのところやったんで、スパイクのまま、ボールをほったらかしにして、コンクリートの上をダアアアアッシュ!
はあはあと息を切らしながら、着いて。ピンポーン!ピンポーン!
と、その時。あ!そうやった、あいつ、今日、車で30分離れたところの彼女のとこに行って泊まってくるって言ってたな!!
その先、更に10分走ると、もう一人のチームメートの家があるのを知っていて、行くと誰も居ねえ!!
そういえば!!こいつもそういえば同じような事言ってたっけ!?
辺りも暗くなってきて、しかも寒くもなってきて、ヤベー、どうしよう!?とか思いながら。
あ!そうや!マッサージ師が控え室の鍵を持ってるし、彼の家には一回晩飯に招待された事があった。
だが、彼の家がどこかとは、はっきりと憶えていなく、坂を上がったり下がったりしながら、かなり走り回ったが結局見つからず…
ふう…とかため息をついている場合じゃないけど、ほんまブルーやったわ。
そこへ、新たなアイディアが!
あ!そういえば…!マッサージ師の仕事場ってグラウンドの近くにあったよな?
ってひとり言を言いながら走っていった。
なぜそこへ行ったかといえば、彼の電話番号がそこに貼ってあったのを思い出したからである。
そして着いて…あったー!!俺って天才やわとか思いながら、公衆電話へと向かう。
そして公衆電話に着いて。うわ!俺ってめっちゃあほやわ。
金が無いのに掛けれるわけないやん!!
そこへ…ん?これってテレフォンカードか?と公衆電話の近くにあったのを試してみると、
そんなにうまくはいくはずはなく、案の定クレジット切れやった。
しかーし、そこで! シドニーとか、日本に国際電話を公衆電話からあるカードを使って掛けていた自分は、これでスイス国内も掛けれるんちゃうん?とか思いながら、まず初めに掛けるフリーダイアルの電話番号を思い出した…
さすがに結構掛けてるだけあって、そこへはとちゃんと掛かったのだが、ここからが問題。そのカードのクレジットが切れると新しいのを買いに行くので、その後に押さなければいけない16桁の暗証番号は毎回違ってくるのだ…
こんな感じやったっけ?って押すと、2回目でなんと!!!繋がった!またまた、俺って天才!とか思いながら、マッサージ師に掛ける。
クレジット切れ寸前で状況をなんとか説明できて、「今はマッサージのお客さんが来ていて手が離せないけど、家の者がすぐグラウンドに向かうよ…」と。
ああ、よかったあ。セーフ…ってな感じで、今度はやっと安心して徒歩でグランドに向かい、無事に控え室を開けに来てもらった。
いやいや、しかし不運な事がまとめてこの一日で起きた感じです。
ほんと笑えなかったですよ…笑
★Nao
日本で海外サッカー留学
ワセダクラブ英会話サッカースクール
毎週土曜の朝 adidas futsal park 渋谷 大人対象クラスは naoki@bluetag.jpまで。